統合失調症に負けない

統合失調症6年目の私が、病気の悩みや乗り越えるコツについてお届けします

私が妄想を克服した方法〜統合失調症のための認知行動療法のやり方〜

認知行動療法をやってみよう

認知行動療法とは

精神疾患を抱える人は、現実に対する認識の仕方に、ズレがあることが多いと言われています。認知行動療法とは、考え方のくせやゆがみに気付き、正しい考え方に修正していくという治療法です。

統合失調症のための認知行動療法

統合失調症の場合は、認知行動療法は、妄想や気持ちの落ち込み、不安などに効果があると言われています。

自分の考えを一度紙に書き出して、自分の考えといったん距離を取り、それを別の角度から見てみるのです。 

認知行動療法のやり方

まず初めに、このような表を用意してください。

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「A. 起こった出来事」には、自分が気になる体験談を書きましょう。

例︰病院の近くで、中年の男性とすれ違い、目が合った。

「B. 受け止め方」には、「A. 起こった出来事」に対する自分の解釈を書きましょう。

例︰すれ違った男性は私服警官で、私服警官が自分のことを追っている

⇒「気持ち」︰恐怖、怒り

次に、自分の「B. 受け止め方」に対してほかの可能性を探り、「C. ほかの受け止め方」に書き込みましょう。

例︰たまたま道ですれ違った人と目が合ったのかもしれない。

⇒「気持ち」︰安心

この作業は、他の人と一緒にやってもらうと良いでしょう。

自分ひとりでは考え付かなかった別の考え方に気付くことができます。

また、ほかの人と一緒にやってもらうことで、日常的に妄想の有無をチェックすることができ、妄想を再発してしまった場合にも、早めに発見することができます。

ただし、認知行動療法をやっても妄想が修正できないほど悪化している場合は、投薬治療などと合わせて対処していく必要があります。

認知行動療法をやってみた

私が認知行動療法を行ったときの様子をご紹介します。

どんな状況だったか

しばらく陽性症状が落ち着いて、普通に過ごしていたのですが、ある時、小さなきっかけから妄想を再発してしまいました。

きっかけは、私の面倒をよく見てくれていた親戚の体調が悪くなってしまったことです。

親戚は、吐き気や腹痛がひどくてご飯も食べられないのに、色んな医療機関を受診しても異常なしと言われていました。さらに、緑内障が進行して失明寸前になっているという連絡があったのです。

私は動揺しているうちに、入院前の記憶が蘇り、「親戚が闇の機関から攻撃されているのでは」という小さな妄想に悩まされるようになりました。

この時は、「これは妄想かもしれない」という小さな考えに過ぎなかったのですが、その後、インターネットで「電波の攻撃」と検索してしまったのです。自分の不安な気持ちを裏付ける情報を探していたのかもしれません。

すると、

  • 国内外の機関が特殊技術を使って特定の個人を攻撃している
  • 遠隔操作で人間を体調不良にする技術が存在する

といった情報が沢山出てきてしまい、妄想が強まってしまいました。

妄想が強まると、入院前に自分が経験していた幻聴や幻覚の記憶が蘇り、妄想が確信に変わってしまいました。恐怖で夜眠れなくなり、友人や家族にLINEを送って困らせてしまう結果に。

心のどこかで、「それは妄想かもしれない」という思いがあったにも関わらず、インターネット上の情報を見るという行動を起こしてしまったために、妄想がかなり強化されてしまったのでした。

しかしその後、認知行動療法を行うことで妄想を克服することができました。ここでは、その時の内容をご紹介します。

「A. 起こった出来事」

半年前から親戚の体調が悪い。凄く元気で活動的な人だったのに、日課の散歩にも行かなくなり、家に引こもるようになった。怒りっぽく頑固になり、吐き気と腹痛が続いて食事も取れなくなった。さらに、緑内障が悪化して目がほとんど見えなくなり、メールやLINEができなくなってしまった。

「B. 受け止め方」

  • 親戚が私を助けることができないように、闇の機関が特殊な技術を使って親戚を攻撃しているのではないか
  • 私はやはり闇の組織に狙われていて、元気に活動できないように監視されているのではないか
  • このままでは自分の家族も狙われてしまう

このときの「気持ち」

  • 恐怖、不安
  • 理不尽さに対する怒り

「C. ほかの受け止め方」

  • 親戚の体調不良は、加齢によるものではないか
  • インターネット上の情報はあてにならない
  • 真実なんて自分にはわからない。知る術はない。毎日ハッピーに過ごせればそれで良いのではないか?
  • 状況は変わらないのに、悪い気持ちで過ごすのは損だ。
  • 良いことに目を向けて、幸せな気持ちで過ごしていきたい。

このときの「気持ち」

  • 安堵
  • 落ち着き

認知行動療法をやった直後は、妄想が完全に消えたわけではありませんでした。「なかなか腑に落ちない」という感覚が残っていたと思います。

しかし、恐怖心に取りつかれて身動き取れなくなるような状況はなくなり、その後ほかのことに没頭しているうちに頭の中が切り替わってゆき、恐怖心を克服することができました。

妄想があっても、妄想との間に距離を取ることができれば、妄想に振り回されなくなります。

気持ちを切り替えるために

マイナスの気持ちが芽生えたとき、その気持ちを野放しにすると、自らその気持ちを裏付けるような「証拠」を探してしまいがちです。

悪い考えや妄想にハマりこんでしまった時、自分の気持ちを切り替えるのはとても難しいことです。気持ちは思考に連動するからです。

ですから、一度頭の中身をすべて紙に書き出すと良いでしょう。「事実」とそれに対する「自分の解釈」を切り離して整理することで、「ほかの可能性」を探す余力が生まれるのです。

妄想を発症した時、不安や怒りを受け止めて、さらにそれを修正してくれる人が周囲にいたら、ある程度悪化せずに済むかもしれません。

しかし、いつでも誰かを頼れる訳ではありませんし、自分で自分をコントロールできたら、自立して生活できると思います。

紙とペンがあればどこでもできる認知行動療法。みなさんもやってみませんか?